2009年5月7日木曜日

メイプルソープとコレクター

 渋谷の小さな映画館で『メイプルソープとコレクター』という映画を観ました。よく下調べもせずに、メイプルソープについてのドキュメンタリーだと思って行ったのですが、公私ともに写真家メープルソープのパートナーであったコレクターについての映画でした。

 彼の名はサム・ワグスタッフ。アメリカの上流階級に生まれ、現代アートの学芸員として成功し、写真のコレクターとしてひとつの価値観を作り上げた人物です。個人のドキュメンタリー映画としてはやや茫洋としており、あまりおすすめしませんが、とかくセンセーショナルな写真家として人々の記憶に残るメープルソープの傍らで、ワグスタッフが大きな影響を与えていた(作品へも、そして金銭的にも)ことを初めて知ったのは驚きでした。彼やメープルソープを知る人々が次々にスクリーンに現れるのですが「ロバートはサムのお金にしか興味がなかったのよ。」などと言う人もおり、華やかなアート界の住人たちの寒々しい一面もまた印象的でした。晩年は写真のみならず銀製品の蒐集も行っていたそうですが、彼は全てを死の直前、ゲティ財団に売却しました。それらはゲティミュージアムでも公開されているようです。いつか、彼の美意識を追体験しに訪れてみたいと思っています。

『メープルソープとコレクター』公式サイト


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