関西へ行く機会がありました。帰りの新幹線に乗るまでの時間に、ヤノベケンジ氏のプロジェクト、「トらやんの大冒険」を見て回りました。クラシックな大阪市役所に展示されたジャイアント・トらやんを見て、京阪なにわ橋駅アートエリアB1で行われたヤノベ氏のトークをちらりと聞いてきました。ちょびヒゲおっさんの腹話術人形が放射線探知服アトムスーツを着た「なにわのトらやん」。でっかいトらやんが、市役所のエントランスホールに居り、来る人を見下ろしています。振り返ると、中二階の手すりにちっこいトらやんが手を振っています。川べりを歩いてアートエリアB1にたどり着くと、さらに沢山のトらやんが!地下鉄のエスカレーターの手前に作られたスペースで、スライドを背に語るヤノベ氏は、「ラッキードラゴン」と名付けられた作品=船が大阪の水辺をぬいながら水を吹き上げたり、目を光らせたりする様子を解説しています。
相変わらず、アートの意義やらについてもやもやしていた私は、トらやんを見上げたり、ヤノベ氏の熱いトークを聞きながら「飢餓の子どもに栄養を与えたり、紛争を解決したりするでもない、何か目に見える『成果』が表れる訳でもないアートの効用とは何だろうなあ。」と考えを巡らせていました。ゲストでぎっしりのトーク会場を遠巻きに眺めつつ、何かを形にして、人前に差し出してみせるヤノベ氏のガッツというか、情熱のようなものをぼんやりと感じつつ思ったのは、人の想像力を通じて何かよきものを願ったり、待ちわびたりする訓練、あるいは追体験をさせてくれることが、アートのなせる技なのかも、ということです。まだちょっとうまく言葉にできません。アートを巡る私の大冒険もまだまだ続きます。