2008年8月18日月曜日

ただいま製作中

 週末友人と、森美術館の『アネット・メサジェ』展を見に行きました。1970年代から活躍しているフランス人アーティストの展覧会です。バラバラにしたぬいぐるみで構成された作品、彩色した写真、コラージュなど、様々な手法の作品で構成されていました。

 網を展示室に配置した作品や、天井から床まで壁面にクレヨンのようなもので文字が書いてある作品を見て私たちは、「これって、本人が来て展示するのかな。巡回する時どうするんだろうね。」など、作品がどう展示されたかの方が気になりつつ展示室を回りました。すると展示室の最後、丁度ワークショップを行っているスペースの壁面に、展示風景の映像が流れていました。そこにはメサジェご本人や学芸員だけでなく、展示業者を始め展示作業を手伝う人々の姿が映っていました。先ほど気になった壁面の作品は、メサジェの手ほどき(?)を受けた多くのスタッフたちが脚立に乗ったり、床に腹這いになったりしながら文字を書いている様子が紹介されていました。私たちは「こんな風に作っていたのか!」とか「やっぱりこの部分は本人が決めるのね」とまるで謎解きをするかのように作品の展示風景に見入ってしまいました。

 ふと、こういう映像が展覧会でもっと見られたらいいのに、と私は思いました。来館者は、普段完成された展覧会しか目にすることが出来ません。でもそこにたどり着くまでには、展示の構成を決め、展示室をデザインし、作品を運び込み、開封し、しかるべき場所に展示するという長い行程があります。いつもはしんと静かな展示室に、実は生々しく活気に満ちた「ドラマ」があるなんて、とても興味深いじゃありませんか!

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