銀座のメゾンエルメスの8階へ、Janet CardiffとGeorge Bures Millerの展覧会のオープニングに行きました。6年前、2003年にロンドンのホワイトチャペルギャラリーでみて、修論の事例で取り上げた展覧会の作家が来るということで、とても楽しみに出かけました。作品はその時と同じ『40声のモテット』が来ていました。会場をぐるりと囲んだちょうど大人の頭の高さにあるスピーカーから聖歌隊の合唱が聞こえるというものです。
私は修論を書くにあたって、美術作品と美術館の場所の関係、美術館空間での来館者体験の特別さとは何か、について書きたくていろんな展覧会を見に行きました。この作品は、会場に入った途端に人々の振る舞いが変わるような面白い作用があると感じ、事例に取り上げました。宗教音楽という厳かな音と美術館の空間、そしてその場に入った途端に人々がスピーカーに耳を傾け、中央のベンチに座る様子はまるで振り付けられたような印象もあり、しばらくその場にいて人々の動きや表情を観察したのを覚えています。それ以来、美術館空間がもつ特別さ、人々の振る舞いを規定する力に興味を持ちつづけてきました。この課題についてはまだまだ答えは出ませんが、久々に初心に戻るような清々しい思いを持った夜だったのでした。
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