カナダのティーンをターゲットした性に関する展覧会が議論を呼んでいます。先日「大人向け」としてNYのThe Sex Museumを紹介しましたが、これは反対に子供向け、子供の性教育を目指したものです。5月17日からオタワ科学技術博物館で始まった"Sex: A Tell-All Exhibition"が問題の展覧会です。企画はモントリオール科学センターで、性科学者の協力を得て学校の性教育プログラムの変革を目指しています。
展示には性感帯をライトアップした男女の裸の像、セックスに関するQ&Aに答えるビデオディスプレイなど、かなり大胆な内容を真面目に扱っています。大人でもそう誰とでも気楽に話す内容ではないと思います。しかも対象年齢は16歳からで、それ以下でも大人の同伴があれば見学できるそうです。地元のメディア、OTTAWA SUNではこの企画展について街の声を伝えています。高校生ぐらいの男の子たちは、周りの友達の反応を気にしながら「こういう話題は親とはしない。」とか「ちょっとゲッて感じ。」と言っていました。大人たちは「性教育は早い方がいい。」といった肯定的な意見が多くありました。自分も16歳でこの企画展に連れて来られたらかなり戸惑うかも。男の子たちの気持ち、分かる。でも大人になった私がこの内容を見ると、あれこれ不安になるより博物館の権限の元に安心して情報を手に入るというのはいいことかもしれない、とも思うのです。子供の反応に大人がどう対応するかがこの企画展の肝と言えるかもしれません。
この企画展に子供を連れてくる大人への配慮も見られます。企画展のサイトにはFAQが設けられ、誰に向けた企画展か、科学的文脈にどのように関係した企画展か、子供にセックスを奨励する企画展なのか、といった質問について15の項目に渡って答えています。さらに面白いことは、市民からのコメントが書き込めるようになっている点です。概ね館長への賛同のメッセージが連ねられているのですが、中には「セックスは結婚という相応しい文脈で語られるべき」といった言葉も書かれています。意見を交わせる場があることも、博物館側のよく考えられた対応を示していると思います。
一方、公共の博物館でこのような企画展を行なうことに否定的な意見も聞かれます。カナダの納税者組合はThe Sex Museumに言及し、これは公共ではなく私立の博物館で行なうべきものだ、と主張しています。ここにはなかなか面白いポイントが隠されています。公共の博物館で何を取り上げるのが相応しく、また何が相応しくないか、という判断の基準はどこにあり、誰が決めるかと言うことです。博物館を語る入れ子のような、メタ博物館と言える問題も期せずして見えてくるように思います。
SEX: A TELL-all Exhibition Canada Science and Technology Museum
Museum's sex show gets dressing down from feds (Ottawa Sun 5/20/2012)
Canada museum raises admission age for sex exhibit aimed at teens (Fox News .com 5/17/1012)
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