2012年5月4日金曜日

Tsunami Debris Project 東北の津波とカナダの博物館をつなぐもの

 東日本大震災の大津波で流された物が、1年以上経ち次々とカナダの西海岸で見つかっているというニュースを聞きます。サッカーボールやバイクなど持ち主が判明した物もあるとのこと。生活の全てを流されてしまった人たちにとって、思い出が甦ると同時に喪失感を新たにするような複雑な気持ちになるのではないかもと想像します。

 この一連の流れ着いた瓦礫について、カナダの博物館でとある活動が始動したそうです。ブリティッシュコロンビア州海洋博物館の"Tsunami Debris Project (津波漂着物プロジェクト)"と呼ばれるものです。5月1日のABC Newsの記事が報じていました。津波による漂着物の写真を集め、元の持ち主を繋ぐことが目的だそうです。記事によるとプロジェクトのコーディネーターは、「単に記録するのではなく、展示として津波で全てを失った人たちの個人や心情といった価値のある社会的、人間的な物語を伝えたい。」と語っています。博物館ではウェブサイトで見つかった漂流物の写真を公開するそうです。そこから、元の持ち主が思い出の詰まったものを見つけて欲しいそうです。

 コーディネーターはまた「多くの漂着物は漁業関連の破片であったり個人的な思い入れのないものばかりかもしれませんが、いくつかはサッカーボールのようなものが見つかるでしょう。それは宝探しのようなもの。何が見つかるか私たちにもまだ分からないのです。」と言っています。博物館では連邦政府、州政府と連携し情報の共有や必要であれば撤去なども進めるそうです。博物館の迅速な実行力に驚かされました。

 フェイスブックでもページが設けられており、漂着物を見つけた際には写真を貼付けて欲しいと呼びかけています。博物館が仲介となってその漂着物が何か、どのような意味があるかを探ります。このページは先月25日に開設され、5月4日に見たところ既に1279人の"いいね”が得られたようです。このように現代の現実的なトピックを取り上げ、さらにSNSを活かして活動を広げていくというのは、博物館の新しいあり方と言えるでしょう。「もの」に込められた物語や思いを提示していくという、社会的な役割を誠実に果たししていると感じました。

 津波に襲われた人たちへの共感を込めてこのプロジェクトを発案した博物館に感謝すると共に、東北に住む多くの方々への支えや励ましとなる活動になって欲しいと願います。私もフェイスブックで活動の過程を見ていくつもりです。何か動きがあればこのブログでも随時紹介したいと思います。

The maritime Museum of BC "Tsunami Debris"ウェブサイト
フェイスブック "Tsunami Debris Project - Maritime Museum of BC" ページ

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