2015年8月26日水曜日

「全く似ていない」オリンピックエンブレムとリテラシー

 オリンピックエンブレム問題にモヤついています。


 東京オリンピックのエンブレムが、ベルギーの劇場のロゴを盗作したものだと指摘された、あの件です。それ以降、あれも似てるこれもパクリだとあら探しが盛り上がったり、おもしろ半分に考えた新しいロゴをTwitterにのせたりしているのを見聞きします。ヘラヘラしている場合じゃない、このロゴは盗用なの?問題ないの?いちばん知りたいのはそこです。だってもうCMにも使われてるし、オリンピックは5年後じゃん!


 そのあたりを、ラジオっ子が大好きなTBSラジオ「荻上チキ・Session 22」(8月18日放送)のゲスト、弁護士の福井健策さんが解きほぐしてしてくれました。


  盗用かどうかを判断する前に、まずは商標権と著作権の二つを区別する必要があります(ここからして知らなかった)。商標権はトレードマークやロゴ、ブランドネームなど、国や地域ごとに登録されているもの。ベルギーの劇場のロゴは、商標登録されていません。一方、著作権は音楽や映像などの著作物が対象で、世界のどこであっても模倣は侵害とみなされます。


   では東京オリンピックのエンブレムについてはどうでしょうか。


 法的には、ロゴやマークなどは著作物にあたらないそうです。そうしておかないと簡単なシンプルなロゴなども全世界的に独占されることになり、使えなくなる可能性があります。一方、著作物は、より複雑なものを対象として、長く強い権利を与えてバランスを取っています。


 アルファベットのもじりはある程度似てくるので、今回の件では侵害は認められにくいというのが福井さんの意見です。


   それなら堂々と使おうよ?ということにならず、デザイナーの神妙な会見ばかりがクローズアップされています。福井さんは、論点はエンブレムのデザインなのに、デザイナーがいい人か悪い人かという話に拡散していることに違和感があると言っています。国際的な大規模なイベントではこういった問題はよく起こるので、慌てずに、というのが福井さんの弁です。


  この一件では、私たちが正しい情報にアクセスし、それを根拠に判断できるリテラシーを持っているかどうかを問われたと感じました。エンブレムがパクリかどうかという議論に、私たちは妥当な反応ができていたでしょうか。


    オリンピックほどの規模はあり得なくても、同じように判断に迷うできごとは私たちの身近には多々あります。そんなときは、感情的にならないで、落ち着いて、知恵をあつめて解決する。それが真摯な態度だと思います。

  やや広げすぎた風呂敷を畳みきれないままですが、今日はこれにて終了といたします。

1 件のコメント:

  1. 何だか色々あるけど、あのデザイナー、大阪の「ビリケン」にそっくりだよね。

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