全世界の美術館・博物館関係者が白目をむきました。まずこちらの映像をご覧下さい。
中央社のYouTubeより
台湾で開催中の展覧会で、12歳の少年がつまずいて150万ドル(約1億8000万円)の油絵に穴をあけてしまったのです。よろけたひょうしに右手でカンバスを思い切りパンチしているのが監視カメラに写っています。油絵は300〜400年前に描かれたパオロ・ポルポラという画家の作品で、イギリスの新聞The Guardian(8月25日)は「まるで悪夢が現実となったスラップスティックコメディのようだ」と書いています。笑っている場合じゃないよ。
記事では「少年はアート界の困ったちゃんリストに名を連ねた」という前置きで、来館者が作品を破壊した例を紹介しています。靴ひもを踏んづけて転び、300年前の中国の花瓶を割ってしまった男性、ピカソの絵に倒れ込み15cmも破いてしまった女性、論外なのは、モネの名画を故意に破壊したとして逮捕されたアイルランド人の男性です。
ところが26日、事態は急展開をむかえます。この名画は別の作家の作品によく似ており、価値も3万4000ドル(約41万円)以下かもしれないというニュースを時事通信が配信しました。これは本格的なコメディに舵が切られた予感がします。
いや、贋作疑惑というサイドストーリーに惑わされてしまうのは美術館・博物館関係者には本意でないと思います。もっとつっこんで欲しいのは、展示方法や会場マネジメントの隙です。くわしく映像を見るとわかるのですが、油絵の手前にはロープが張られているだけでなく一段高くなっていて、何かに気を取られていたらひっかる可能性があります。少年の右手には飲み物を持っているのも確認できます。これはアウトだねー。
わたしは美術館側の視点で見ているので主催者に工夫が欲しいと思いますが、来館者にすれば、ガチガチに管理された空間ではなく、気軽に名画に触れられた方がいいという見方もあります。そのあたりの意図と要望をどうすりあわせるかはやはりプロである美術館が担うものだと思います。
Boy trips in museum and punvhed hole through painting | The Guardian (25 Aug 2015)
Boy trips in museum and punvhed hole through painting | The Guardian (25 Aug 2015)
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