2011年4月10日日曜日

テクノロジーも使いよう?

 ここのところTEDからの話題が続いていますが、今回もまたpodcastでダウンロードしたTEDの番組から感じたことを書きたいと思います。この回のゲストは作曲家であり指揮者であるEric Whitacre。小さい頃から音楽に興味があった彼は、大学で聖歌隊と出会います。その後作曲を学びプロとして様々な合唱曲を作ってきました。そしてとあるきっかけからYouTube上で彼が作曲した合唱曲と指揮をしている映像を投稿し、世界12の国から185のソプラノ、アルト、テノールなどの各パートの映像を集めました。中には全てのパートを歌って投稿した人もいました。このあたりまできて、どこかで似たようなものを聞いた事がある、思い始めました。そうです、これまたTEDで見たZe Frankのプロジェクトです。仕事で自信をなくしてくる女性のために歌を作り、世界から歌声を集めてミックスした作品を作ったアーティストです。

 Whitacreもまた、ここではないどこかにいる人たちを繋げ、一つの合唱作品を作り上げています。そのハーモニーと映像は心揺さぶるものではありました、が、私の中ではFrankのプロジェクトで感じた「ブラボー!」な思いにまでは至りませんでした。それは何故だったのだろう、というのが私の今回の疑問です。

 両方とも現代のテクノロジーを使うことで、これまでできなかったことを実現させようとしています。私が決定的に違うと思ったのは、「これまでできなかったこと」で何を生み出しているか、という点です。かなり辛口になってしまいますが、Whitacreの作品は「これまでできなかったこと」で今までできたことをしたにすぎないように見えました。まさに新しいガジェットを手にしただけで創造性が飛躍したと思い込んでいる人たちのように。一方Frankは、見せ方など一見洗練されていないように見える部分もあるのですが、新しい道具を使いこなしているような印象がありました。見ず知らずの誰かを励ましてくれる誰かが、世界のどこかにいるのではないか、というアイデアから、それを実現するために現代の技術を駆使する、というのがFrankの創造のプロセスであり、それが私をはっとさせたポイントのような気がしました。

 私の中ではまだ、うまくこの違いを明確に説明できないでいます。もしかすると何かを見落としていたり、逆に何かに惑わされているのかもしれません。また新たな考えが浮かんだとき、ここに記そうと思います。