2016年2月24日水曜日

映画『さようなら』

 映画『さようなら』。11月に東京で公開され、地方に住んでいる私には劇場で観る機会はないかも…と諦めていたのですが、ラッキーなことに長野県の岡谷スカラ座で観ることができました。


 この映画は、人間とアンドロイドが共演した作品ということで注目を集めました。ストーリーの舞台はテロで原発が破壊された近未来の日本。国民が国外へ避難するなか取り残される病気の外国人難民であるターニャと、彼女を支えるアンドロイドのレオナ、そして彼女らを取り巻く人びとについて描いています。


 記憶頼りなのでセリフの詳細は曖昧なのですが、数あるシーンの中で印象に残ったものについて書きます。


 まずは、放射能を避けるため人びとが線路添いを避難する場面。ヨーロッパに大挙するシリア難民のニュース映像が重なりました。これは公開時に見ていたらまだ余所事に見えた風景です。世界情勢の急変にフィクションが振り回されているような思いでした。


 この映画では、国民に番号が振られランダムに選ばれた人から国外に避難できるという設定になっています。難民認定された番号を確認しに行くシーンで、主人公の友人が、独身の中年女性なんて後回しだよね、とこぼします。これは個人的には心に刺さりました。人の価値がどこかのポイントで見極められてしまうかもしれない、その線引きがリアルでした。


 しかし、原発の街が廃墟になり国民が次々と国外に逃げている状況でも、生活の営みや感情の動きは簡単には変わらない。それが、放射能で汚染された生活の中でも盆踊り大会をするシーンに表れていました。緊急事態に盆踊り、というのが私の目には温かくもあり、シュールにも映りました。


 それから、なによりもアンドロイドの存在感に目を見張ります。ターニャの話し相手であるアンドロイドのレオナは、青い空の美しさはターニャさんから学びました、と言います。それに対してターニャは、じゃあ私は自分の言葉にうなずいていたのね、とがっかりします。美しさを感じる心は学習によって培われ、人間とアンドロイドの間でも共有できるのか?私はできそうな気がする、と思ったシーンでした。


 またロケ地がなじみのある場所だったこともあり、よく知っている風景が目の前で静かに壊滅していくのを見ているようでした。フィクションの世界が現実世界に溶け込んでくる。そんな恐怖が続いています。


2016年2月19日金曜日

biteho記事公開「パブリックドメインで作品制作 NY公立図書館が資料を無料公開」

 bitechoで新しい記事が公開されました。NY公立図書館のパブリックドメインについて書いています。ここには源氏物語絵巻も収蔵されています。

【bitecho】 創造力を社会に生かすアートニュースサイト
パブリックドメインで作品制作 NY公立図書館が資料を無料公開