2014年6月10日火曜日

ミュージアムグッズ考


ミュージアムグッズ考


アメリカで起こった9.11テロ事件の記憶を残すため、5月15日に9/11メモリアルミュージアムがオープンしました。ツインタワーの跡地に残された遺物や遺構に、間近にふれられる博物館になっています。


ウォールストリートジャーナルのネット版(2014/5/28)によると、ミュージアムショップが議論を呼んでいるそうです。


このニュースを読み始めた時点で私は不穏なものを感じました。
ここで取り上げられていたものは、ミュージアムのショップで販売されている陶器のプレートです。アメリカの地図上の、テロリストが攻撃した場所にハートマークがついたデザインになっています。テロが起こった場所で売られるには不謹慎であるという声が上がったそうです。気になって、ほかにもなにがあるかオンラインショップを見たところ、おどろきのアイテムがいくつかありました。国旗がデザイン化された、愛国心を表すアイテムはまだ理解できますが、「9/11」の文字が入ったTシャツ、トートバッグなどは戸惑いました。お土産でもらったら?エコバッグとして使う?「9/11」とプリントされているバッグを?しかし、陶器のプレートは別として、需要があるからこういったものも売られているとも言えます。


この記事で思い出したのは、以前にもこのブログで書いたイギリスのImperial War Museum Northです。日本で育って教育を受けたものとしては、これが戦勝国というものか、と思わせるアグレッシブな展示内容に驚愕したものです。このミュージアムのショップをネットでもう一度調べたところ、本やDVDはもちろんですが、カモフラージュペイントや戦車の模型など、子供向けのグッズが充実していました。女性、男性向けのジュエリーもいくつかありました。彼氏からもらったらちょっと空気が微妙なことになりそうです。それからチョコレートバーやお菓子なども。(誰向け?)。厳粛な気持ちで展示室を出たとたんになんていう品揃え!結構にぎわっていたことを思い出しました。


記事では、オクラホマシティーの爆弾テロ事件のメモリアルミュージアムや、パールハーバーのブックショップで売られているグッズについても言及されていました。パールハーバーのブックショップの運営者によると「手に取った人が気まずい思いをしないかどうか」を商品の基準としているそうです。こちらもネットで調べたところ(ネットって便利!)キーホルダー、マグカップ、しおり、記念コイン、ポスターなどなど、オンラインショップはなかったので詳細はわかりませんでしたが、退役軍人やその家族などがターゲットなのかな、という雰囲気でした。


日本ではどうでしょうか。テロに関する博物館はなさそうですが、広義にとって戦争をテーマにしたところでは原爆資料館がまず頭に浮かびました。ネットで見つけたのものでは、資料館で売っているのかはわかりませんが、公益法人広島平和文化センターが販売しているもので、原爆ドームのモチーフが入ったTシャツや鳩のモチーフを使った平和関連のグッズ、一筆せんなどがありました。個人的には、メッセージ性が強すぎるものは使いにくいと感じます。


ミュージアムショップに求めるものは人それぞれで、物議を醸すようなものは売られていないと思っていました。お土産一つで複雑な思いを引き起こすこともありうると思うと、買っていいかどうか躊躇する場面もあるかもしれません。ミュージアムの資料だけでなく、ミュージアムグッズという視点から、ものに対する価値観や倫理観を見ることもできそうな気がします。博物館や美術館の中でも、あまり深く考えたことがない場所でした。これからちょっと気をつけてみていきたいと思います。

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